2019年度 タイスタディツアー

芦澤美佳・手島有咲・芝田将矢

〇目的 

  これまで日本でしか暮らしたことのない私たちが、自分とは違う環境・文化で育った人と直接交流することや、異なった文化での生活を体験することによって、自らの視野を広げる。また、旅先で出会った人との縁を大切にし、おかげさまの気持ちを持ってつながることを目的としました。

〇行程(2019228日~37日)

 1日目  成田空港からバンコクを経由しチェンマイへ移動

 2日目  チェンマイ市内観光・クリスチャンスクールの学生と交流会

3日目  チェンライへ移動し、暁の家を訪問

46日目   サンクラン村でのホームステイ・コーヒー農園のボランティア活動                 

7日目  チェンマイ空港から成田へ帰国

 

 


〇1日目 2月28日

日本から飛行機で約9時間。私達はタイのチェンマイに到着しました。空港を出て初めて吸ったタイの空気は、日本と同じ味がしました。タイの街は最初に感じたように非常に過ごしやすい印象を受けました。人は優しく、食べ物は美味しい。特に、日本では見かけない南国フルーツは絶品でした。また、所狭しと立ち並ぶ出店や歴史的な建物は日本とは一味違った風情や文化を感じました。タイの文化や国民性を旅の始めに知ることができたのは、初日の観光の意義だったと思います。

2日目 3月1日

  チェンマイにあるクリスチャンスクールを訪れ、地元の高校生たちと交流をしました。ここでは日本語教師として勤めている田中先生に案内をしてもらいました。交流の場で生徒たちは日本語で話してくれたのですが、流暢でなくとも何とかコミュニケーションを取ろうと模索している気持ちが伝わってきました。私たちも英語やタイ語で話をする機会がいくらかありましたが、いざ話すとなると急におぼつかなくなってしまいます。それでも彼らのように何とかして伝えようとする気持ちや、コミュニケーションの真意は相手意識を持つことが大切なのだと実感しました。

教員志望の学生 が多かったため 海外の学校・生徒 と交流できたのは いい経験に なりました。
教員志望の学生 が多かったため 海外の学校・生徒 と交流できたのは いい経験に なりました。

3日目 3月2日

チェンマイの中心街から北西に90キロ移動すると「暁の家」という建物があります。タイにはアカ族、ラフ族、モン族などの山岳民族が住んでいます。暁の家は多様な山岳民族の子どもたちが家を離れて職業訓練をしたり、学校に通ったりするための学生寮として1999年に設立されました。

タイの山岳民族支援プロジェクトを展開しているのは中野穂積さんという女性で、小岩井先生と30年近いご縁のある方です。暁の家は今、山岳民族のコーヒー農園で栽培されている無農薬有機の豆を焙煎し、袋に詰めて販売するといった山岳民族の経済自立のための支援等を行っており、私たちは穂積さんの案内と紹介の元で、このコーヒー農園のボランティアとホームステイをさせていただきました。

穂積さんは日本人を多く受け入れており、私たちが訪れた時は、南山大学の学生も同じようにスタディツアーで暁の家を訪れていました。異国の地で日本の学生と会えるとは思いもよらず、不思議な安心感がありそれもまたいい思い出となりました。


46日目 3月3、4、5日

  タイ北方チェンライにある山岳民族の村、サンクランへ行き、ホームステイをしながら現地でコーヒー豆畑の手入れ作業を行いました。主に畑を荒らす害虫防止のため、収穫前に地面に落ちてしまったコーヒー豆の回収を行いました。山の斜面にあるコーヒー畑での作業はとても過酷で、ただ座っているだけでも、気を抜くと滑り落ちてしまうほどでした。また、アカアリという噛みつきアリに注意するため、40度近い乾燥した気候の中、長袖長ズボンで作業をしなければなりませんでした。

地面に手をつかないと下まで滑り落ちてしまうほどの急斜面!!
地面に手をつかないと下まで滑り落ちてしまうほどの急斜面!!
村には電気もガスも水道も 通っておらず、日の出で起き、 日の入りで眠る。とても健康的な生活でした。
村には電気もガスも水道も 通っておらず、日の出で起き、 日の入りで眠る。とても健康的な生活でした。

私たちがホームステイに行くと、住民の方は全員で歓迎してくれました。コーヒー園での作業の合間に、毎食豪華な食事を用意してくれました。鳥や犬が放し飼いにされており、最後の夕食時にはその鳥をさばいて料理をふるまってくれました。全く言葉が伝わらないからこそ、態度や表情というものがより相手に伝わりやすく、コミュニケーションをとる上でとても大切な物になることを知りました。

サンクラン村にはガス、水道がなく、電気も一家に電球が一つ灯るほどしかありません。蛇口をひねればいつでも新鮮な水が出てきたり、毎日たくさんのお湯でお風呂に入ったりする私たちの生活とは大きく異なり、驚くこともありました。しかし、小さな明かりのもとで話をしたり、画面越しではなく直接人と人が助け合って生活している温かい村の暮らしの様子を知りました。山岳民族の方々は村の結びつきがとても強く、村ひとつで大きな家族のようでした。

サンクラン村の皆さん、ありがとうございました!
サンクラン村の皆さん、ありがとうございました!

7日目 3月6日

スタディツアー最終日は、暁の家や穂積さんなどタイでお世話になった方々に感謝の気持ちを伝える1日にすることを目標に始まりました。暁の家の方々とお別れの時、私達がお礼を伝えるはずが、手作りのミサンガを一人ひとりに巻いてくれました。夜遅くまで手編みで編んだミサンガだそうです。今でもミサンガは大切な宝物です。
 ツアーの最後には山岳地帯にある保育園を訪問しました。この保育園の食堂は地球クラブの「ふるさと地球基金」によって建てられたもので、今も大切に使われていました。ふるさと地球基金に携わったすべての人の思いが今も紡がれていると感じ、私たちの代で絶やすことなく、次の代にも繋げたいと思いました。


☆スタディツアーを終えて

今回の旅では、異国の地、言語、食、生活など様々なものに触れ、視野を広げることができました。目的にも書いたように、異文化に触れることで、改めて自分たちの生活が当たり前のものでないこと、人と人が共に生きるためには「おかげさま」の気持ちを持つことが大切だと学ぶことができました。

タイでは本当にたくさんの良い出会いを経験しました。これも小岩井先生がタイとの交流を続けてご縁を繋げてくださったお陰です。

また、現地では中野穂積さんをはじめ、田中先生、サンクラン村の皆さんなどたくさんの人に支えられました。この旅で見たこと、聞いたこと、経験したことは一生の財産です。心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

最後に、新型コロナウイルスの感染拡大によって、このスタディツアー以降、タイへ行くことが出来なくなってしまいました。いつかコロナが明けたらもう一度タイを訪れ、お世話になった人々に「ありがとう」と伝えたいです。その日までこの旅で得たよい縁を大切にしていきます。